ダイヤルQ2で親を泣かせた話 後編
§3.邂逅
(チャプターⅦ:草陰から橋の下の様子をクリアリング、安全を確認し最短経路で標的まで辿り着く)
雨と何かでガビガビになったエロ本のページを破れないよう慎重にめくる。
高鳴る鼓動、高まる不安。
周囲への警戒を怠らず迅速に電話番号を書き写す様は現代に蘇りしジャパニーズニンジャ。
無事目的達成、意気揚々と自宅へ帰り一丁前にシャワーで身を清める様はただのシコ猿。
震える手で受話器を取り何度も何度も番号を確かめる所までは鮮明に覚えてますが、緊張のあまり会話内容は殆ど飛んでます。
断片的な記憶を辿ると大体こんな感じ。
「もしもーし、こんにちは」
「アヒュッ、コニチハ」
「あれっ…お仕事中?」
「アッ、イエ、家デス」
「ふーん、ねえ絶対まだ子供だよねキミ笑(えっちぼいす)」
「アッ、イエ、ダイガクセイナンデスケド」
「ダメだよ?かけてきちゃ(えっちぼいす)」
(イメージ画像)
適当にあしらわれた後は確か他愛のない会話をしてあっけなく終わったと思います。
この上ない背徳感と年上の女性の色気たっぷりな声に煽られもう汗だく全身エクスタシーになった僕は、二度目のシャワーを浴びジャポニカ学習帳をビリビリに破り捨て何食わぬ顔で友人と遊びに出かけました。
翌月、NTTから5万円の請求が来ることも知らずに。
§4.後悔
封筒片手に見たことも無い表情で佇む親から呼び出され浅知恵しか浮かばないミジンコ脳が導き出した答えは、"そんなの知らない"
何を聞かれても知らぬ存ぜぬの一点張り、薄汚い政治家でもここまでやらねえ。
困り果てた末に問い合わせ先へ連絡。
「覚えのない請求が来てるんですけど、うちの子も知らないって言うし何かの間違いじゃないですかね?」
この時点で母は涙目だし、普段温厚な親父が放つ剣呑な雰囲気に罪の意識が合わさってゲロ吐きそう。
「いえですから明細だとマーシャル諸島共和国…?に国際電話かけてる事になってますけど海外に知り合いなんて居ないんですようちは!!!」
マーシャル諸島共和国絶対忘れねえからなお前その名前な。
何度か同じようなやり取りをした後最終的には折れて支払う羽目になりました、当たり前だよね楽しくお姉さんとお話してたもん勃起しながら。
未だに両親へは真実を伝えられずにいますが、懺悔する機会があるとすればもう墓前しかないでしょうね。
ご先祖様生まれてきてごめんなさい。
-完-